きりたんぽの由来には、次のような話が伝えられています。
ある年の初秋、花輪町に居られたご城代に、南部藩主(現・岩手県)直々のご巡視の知らせが届けられました。その知らせを聞いた料理番は何をご馳走して旅情をお慰めしようかと思いあぐねました。
その時、料理番頭がふと考えついたのが、山に住む木こりやマタギたちの料理です。山木こり達は、普通のご飯を持って山に入ったのではご飯が腐りやすいため、木の棒にご飯をつぶしてつけて焼き、これを山でキジや野菜を煮詰めた鍋に入れて食べておりました。
早速真似て藩主に差し上げたところ、藩主は事のほかお喜びになり、料理番に「これはなんと言う食べ物だ」と聞きましたが、料理番は名前まで考えておらず、思いついたのが槍の稽古に使う短穂槍の形に似ているのでとっさに、これは「たんぽ」ですと藩主に申し上げたそうです。
これが〔きりたんぽ〕と言われるようになった始まりだそうです。
この「たんぽ」を焼く時か焼いた後に「味噌タレ」や「醤油タレ」をつけたものを「味噌付けたんぽ」と言います。
鍋に入れる際、適当な大きさに切って入れるところから「きりたんぽ」と言います。この「きりたんぽ」と鶏肉や野菜、きのこ等を入れた鍋料理を「きりたんぽ鍋」と言います。今では簡単に「きりたんぽ」と言えば「きりたんぽ鍋」を指すようになりました。